ソウルのミュージカル・演劇を楽しむ(1)ミュージカル”三銃士”

2018/4/24から2泊3日のソウル訪問時のミュージカルの話です。

 私が留学していた成均館大学語学堂はかつてソウル大学のあったテハンノ(大学路)の近くにあり、地下鉄4号線の東大門駅の次の駅であるヘファ(恵化)駅から成均館大学行きのバスに乗って通います。
 テハンノは韓国の演劇のメッカであり、ヘファ駅構内には演劇やミュージカルのポスターが所狭しと貼られています。また、特に土日はマロニエ公園周辺で演劇を観に来た人たちとディスカウントされた当日の演劇のチケットを売ろうとするチケット売りでごった返しており、活気にあふれています。

 テハンノには大小合わせて80以上、一説によると120以上の小劇場があると言われています。
 私は客席が80席ぐらいの小劇場で観るのが好きでした。規模が小さいため舞台と客席がすぐ近くにあり、それこそ唾が飛んで来るくらいの距離で役者さんを見ることができます。また、役者さんもお客様の表情を直接感じながら演じるため、客席の盛り上がり方によってどんどんヒートアップしていきます。舞台は生きていると言う言葉を体感できる瞬間です。この一体感が小劇場での演劇の醍醐味だと思います。
 また、韓国演劇独特の"客いじり"と言うのですか、舞台が始まる前に、役者が観客に直接声をかけ、笑いを誘って雰囲気を盛り上げると言うのがお約束ごとのようになっています。私もいじられ、冷や汗をかいたことがありました。前方の通路側の席などは危険地帯だと思った方が良いでしょう。もっとも、好んで行かれる方もいるようですが(笑)

 韓国で公演されるミュージカルや演劇はもちろん韓国語です。日本語の字幕があるのはごく一部です。また、ナンタのようにノンバーバルと言って言葉を話さないショーもありますが、これは例外と思っていいでしょう。

 かつて、日本の有名な舞台作家が韓国の演劇を観てインタビューに答えていたのを思い出します。彼は、ソウルに約一週間ぐらい滞在し、その間、テハンノの演劇を片っ端から見ました。そして、言葉は理解できなくても、心から楽しめる演劇にいくつか出会えたのです。演劇は玉石混交です。素晴らしい演劇はごく一部かもしれません。でも、そういった素晴らしい演劇に出会えた時、心が震えるような感動を体験することが出来るのです。自分もそういった言葉に頼りすぎず、感情をふるい起こすような演出を目指したいと、彼は自戒を込めて言っていたようでした。

 私も留学当時、何回も素晴らしい演劇に出会ったことがありました。次の機会にもっと詳しくお話ができればと思います。

 言葉がわからなくても楽しめるショーと言えば、やはり、ミュージカルが筆頭でしょう。
 今回は、ミュージカル三銃士を見てきました。10周年記念のリバイバル公演でした。過去に何回か、観れる機会があったのですが、タイミングが合わず、残念な思いをしていました。ラッキーでした。
 テハンノの演劇は平均的に3万ウォン、高くても5万ウォンまで、それも当日になると半値近くまで値引きされるものもあり、本当に安く、手軽に楽しめます。しかし、ミュージカルは、演劇と比べて少し敷居が高いようです。平均的に1番高い席で14万ウォンから安い席で6千ウォン前後と演劇に比べるとかなり高いようです。しかし、出演者や会場の規模もテハンノの演劇とは比べ物にならないくらい大規模です。大掛かりな舞台装置や大音量の音響機器により私たちを夢の高みにまで連れて行ってくれます。出演者達の大声量はこれぞ歌手と確信できるぐらい素晴らしく、鳥肌が立つほど感動させてくれます。歌には国境がないということを実感する瞬間です。

 韓国語がわからなくても、インターパーク等のホームページの紹介記事から事前に簡単なあらすじを知る事ができるので、ミュージカルの大まかな流れについて行く事はできます。何を言っているか分からなくても、何となく話の流れは想像がつくものです。後は、ミュージカルにどっぷりと浸かって、素晴らしい歌を楽しみ、身も心も感動の渦に飲み込まれれば良いのです。

 韓国でも日本と同様、おっかけ(?)と言うのでしょうか、出演している役者さんのファンの方がたくさん見に来られているようです。役者さんもそのことを良く知っているようで、今回の三銃士でも、まるでテハンノの演劇のノリで客いじりがありました。舞台が開く前に、主演の役者さんが客席に降りてきて、お客さんのほっぺに軽くキスをしたのです。客席は大騒ぎになりました。(笑)10周年の記念公演ということで、役者さんも少しリラックスしてたのかも知れません。大変盛り上がった雰囲気の中、ミュージカルはスタートしました。

 このミュージカル三銃士はアレクサンドル・デュマの世界的に有名な小説、三銃士をアレンジしたものであるため、韓国語での公演であってもストーリーの展開は容易に想像が付きました。
 素晴らしい歌と踊り、そして、劇中でもテハンノのごとく、客席との軽いコンタクトを交えて、大変楽しく観劇できました。

劇場は江南の韓電アートセンターでした。初めての劇場だったのでしっかりと調べて行ったつもりだったのですが、劇場が見つからず、たどり着くのにかなり掛かりました。皆さん、時間には余裕を持って行きましょう。(泣)

 ミュージカルの公演は、月曜日が休演となっています。火、木、金曜日は1日1回、午後8時から、水曜日は1日2回、午後3時と午後8時から、土、日曜日は1日2回、午後3時と午後7時からと言うのが一般的だと思います。もちろん、各公演によって違いますので、確認は必要です。

 普通、公演時間は、約2時間半ぐらいです。夜の8時に始まると終わるのが10時半ぐらいです。終わった後、マッコリでも飲みながら余韻に浸りたいのですが、へたをすると終電の時間を過ぎてしまいます。終電を過ぎた後のタクシーにはあまり良い思い出がないので、悩ましいところです。できれば、夕方の早い時間に観て、一杯やってからホテルに帰りたいものです(笑)

 このミュージカル三銃士の紹介が遅れてしまいました。ブログを始めて間がないので、いろいろと不具合があり、時間が掛かってしまいました。三銃士は5月27日に終演を迎えているようです。本当に申し訳ないです。復活公演があるかどうかは分かりませんが、もし機会があれば、是非、観に行ってください。

 ミュージカルに関しても演劇に関してもまだまだお話ししたい事があります。近いうちにお話ししたいと思いますので、しばらくお待ちください。

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