ソウルのミュージカル・演劇を楽しむ(8)ミュージカル ”レベッカ”

2019年11月18日(月)から3泊4日のソウル訪問時のミュージカル鑑賞の紹介です。

今回は、ミュージカル ”レベッカ”です。
2019年11月16日から2020年3月15日までソウル中心部の忠武アートホール・大劇場で上演されており、今回が、2013年の初演から第5回目の再演です。

私は、以前、2017年の第4回目の公演を見たのですが、ダンバース夫人の歌声に髪の毛が逆立つというか、鳥肌が立つぐらい感動したことを覚えています。私が韓国ミュージカルにはまった最初のきっかけを作ってくれたミュージカルだと言っても過言では無いと思います。今回、偶然、”レベッカ”が再演されると知り、あわてて“レベッカ”を観るため、ソウル行きを計画しました。

では、今回のミュージカル”レベッカ”について簡単に紹介します。

このミュージカルの原作である、小説 ”レベッカ”は、英国の女流作家、ダフニ・デュ・モーリエが1938年に発表した小説で、サスペンス映画の神様と称される、アルフレッド・ヒッチコックが1940年に映画化をして大ヒットし、世界的に知られるようになりました。
この小説を原作としたミュージカルを制作したのが、”エリザベート”、”モーツアルト”、”マリー・アントワネット” を製作した脚本・作詞のミヒャエル・クンツ、音楽のシルヴェスター・リーヴァイの二人です。 2006年9月28日にウィーンのライムント劇場で初演され、2008年4月6日には日本でも初演されています。
韓国では2013年にLGアートセンターで初演されて好評を博し、その後、2014年2016年2017年と再演を重ね、今回は5回目の再演です。
初演の2013年には第7回ザ・ミュージカルアワードで数々の賞を受賞、ノミネートされて実力をアピール。
前回までで、韓国で動員観客数 67万人、平均客席占有率 92%を記録した大人気ミュージカルです。

チケット売り場

例によって簡単にあらすじを紹介します。

(あらすじ)

”私にとってド・ウィンター夫人はこの世に彼女しかいない!

不慮の事故で妻レベッカを亡くし、苦しい日々を送っているマキシム・ド・ウィンター。
彼はモンテカルロ旅行中に偶然「わたし」に出会い、恋に落ちる。
幸せな結婚式を挙げた二人はマキシムの大邸宅があるマンダレーで一緒に暮らし始める。

マンダレーは美しいけど奇妙で陰惨な雰囲気を漂わせていた。
まるで死んだレベッカが豪邸のどこかで生きているかのようにマンダレーの全てには彼女の存在感が今も濃く残っている。
邸宅を取り仕切る執事ダンヴァース夫人は常に冷たい態度で「わたし」を警戒する。

愛するマキシムとの幸せな人生を夢見ていた「わたし」は段々精神的に追い詰められていく。
誤解が重なってマキシムとの関係も危うくなった「わたし」が自責の念に苦しんでいた時、レベッカのボートと遺体が発見され物事は新たな展開を迎える。

(インターパークより)

私のブログで韓国のミュージカルを紹介する時、あらすじをどこまで紹介するのかと言う点で、いつも悩んでしまいます。あまり詳しく紹介するとネタバレになってしまいます。しかし、韓国語のわからない観客が韓国語でミュージカルを鑑賞する時、話の流れはなんとなく雰囲気でわかるとは言うものの、ストーリーを楽しむことはほぼ絶望的ではないでしょうか。圧倒的な歌声、楽曲、華麗な衣装、壮大な舞台装置等、ストーリーがわからなくてもミュージカルを楽しむことはできます。しかし、ストーリーがわかればもっと楽しむことが出来るのではないでしょうか。

私は日常会話程度の韓国語は理解できます。しかし、複雑な込み入った話になるともうお手上げです。今回の”レベッカ”鑑賞は2回目です。しかし、正直、1回目よりは話の筋が理解できたのですが、肝心の結末が理解できず、疑問符がついたままミュージカルは終わってしまったのです。日本に帰っても、レベッカの死の真相はどうだったのかと気になっていました。
ある日、アマゾンのプライムビデオで、ヒッチコック監督の映画”レベッカ”がただ(笑)で見れることに気がつきました。かなり古いのですが、この映画を見て、やっと結末が理解でき、納得したと言うわけです。(笑笑笑)

このように、話の内容が複雑で、謎解きを楽しむようなミュージカルは、ネタバレになっても詳しい話の筋立てを確認しておいた方が良いのではないかと思います。
気に入ったミュージカルは何度でも観たい、というのがフアンの心理というものだと思います。同じミュージカルの2度目の観劇ではストーリーは全てわかっているはずです。ネタバレの状態で観るわけですけど、何度観ても、感動を新たにすることができます。ネタバレを過大に恐れる必要はないのではないでしょうか。特に、韓国語のわからない観客が韓国ミュージカルを観る時は・・・

私はこれからも韓国ミュージカルの紹介を続けていきたいと思います。その中で、もちろんあらすじの紹介も行います。しかし、私のブログにたどり着いた人たちの中には、ネタバレを嫌がる人もいると思いますので、私のブログでは簡単なあらすじの紹介だけにして、詳細なストーリーは、そこにたどり着くためのヒントだけを紹介することにします。

あなたがもし、”レベッカ”を初めて観る方で、韓国語が理解できない方でしたら、ぜひ、おすすめします。事前にヒッチコック監督の映画”レベッカ”を鑑賞することを!!!

(キャスト)

本日のキャスト

<マキシム・ド・ウィンター>
その美しさで有名なマンダレイに豪邸を所有しているイギリス上流階級の紳士。
誰からも慕われていた美人レベッカと結婚したが、彼女が謎の死を遂げた後、トラウマに苦しんでいた。
上流階級の人たちの偽善的な態度に幻滅したマキシムは純粋な心の持ち主である「わたし」に出会い恋に落ちる。マキシムは「わたし」と一緒に、いままで自分を苦しめていた過去の記憶と心の傷を徐々に克服していく。

(役者)
リュ・ジョンハン
オム・ギジュン
カイ
シン・ソンロク

マキシム役のリュ・ジョンハン

<ダンバース夫人>
レベッカから信頼されていたことで自分の存在価値を確かめてきたマンダレイ邸宅の執事。
レベッカが死んだ後にも執着的な態度でマンダレイ邸宅に残っている彼女の痕跡と形見を大事に管理している。
新しいド・ウィンター夫人になった「わたし」の存在を認めず、マンダレーから彼女を追い出すために手段を選ばない。

(役者)
シン・ヨンスク
オク・ジュヒョン
チャン・ウナ
アリ

<わたし>
とても純粋で繊細な心の持ち主。
ヴァン・ホッパー夫人の付き人として同行した旅行で、マキシムに出会い二人は恋に落ちる。
幸せな結婚式の後、マンダレイ邸宅の新しいド・ウィンター夫人になるが、亡くなったマキシムの元妻レベッカの圧倒的な存在感を感じた「わたし」はだんだん自信を無くしていじけていく。
しかし、マキシムが本当に愛している人は自分だけだと言うことを自覚してからは、真の大人として成長し、マキシムが過去の影から逃れられるように傍らで力になってあげる。

(役者)
パック・ジヨン
イー・ジヘ
ミン・ギョンア

<ジャック・ファベル>
レベッカの親戚でもあり、愛人でもある人物。
ずうずうしい態度で卑劣な本音を隠している。
ダンバース夫人を利用してひそかにマンダレイ邸宅に出入りし、レベッカの死にかくれている秘密を武器にしてマキシムと「わたし」を脅かす。

<ヴァン・ホッパー夫人>
「わたし」の雇い主だった女性で、口数の多いアメリカ人富豪。
貧しい生活をする「わたし」を露骨に無視する。
自分が興味を持っていたマキシムが「わたし」と結婚した後からは、社交界のスターだったレベッカと比較して「わたし」を嘲笑する。

<ベアトリチェ>
マキシムの姉。心が優しい性格で、ためらうことなく「わたし」をかばってくれる唯一の存在。

<ジレス>
マキシムの姉ベアトリチェの夫。愉快な性格で優しい人物。ベアトリチェと一緒に「わたし」の力になってくれる。

<フランク・クローリー>
マンダレイ邸宅の管理人でもあり、マキシムの親友。いつも真面目で、思慮深くて親切な性格。

<ベン>
精神的な問題があり、マンダレイ邸宅のボート保管所辺をよくうろつく人物。単純で気が弱い性格。
レベッカの死に関するレベッカの死に関する秘密と真実を知っているが真実を知っているが、怖くて口にできない。

(インターパークより)

売店

皆さんご存じのように、ミュージカルは役者が変わると、同じミュージカルでもイメージががらりと変わります。ここにミュージカルの面白さが凝縮されているように感じます。同じミュージカルを役者を変えて観たり、また自分のひいきの役者さんにこだわって観たりと様々な楽しみかたができるのではないでしょうか。
今回のマキシム役には4人の役者さんがキャストされています。どの方も素晴らしい実力を持った役者さんだとは聞いておりますが、今回、私が一番気になったのは、リュ・ジョンハンです。
前に紹介した"ジキルとハイド“の初演からの主役の一人がミュージカルの皇帝と言われるリュ・ジョンハンでした。彼のジキハイも観たかったのですが、その時は出演しておらず、彼の歌声を聴くことはかないませんでした。
ということで今回のマキシム役はミュージカルの皇帝と言われるリュ・ジョンハンに決定しました。

また、個人的に思うのですが、"レベッカ"の主役は、ダンバース夫人だと思います。ダンバース夫人に与えられた曲が一番素晴らしく、役者さんにしても一番やりたい役なのではないかと思います。ダンバース夫人と「わたし」が同時に歌い上げる場面があるのですが、ダンバース夫人の歌声に背すじがゾクゾクするというか、髪の毛が逆立つというか、鳥肌が立つというか、最高に感動します。この素晴らしい歌声を聞きたいがために何度でも足を運ぼうと思うのです。
このダンバース夫人役には気になる役者さんが何人かいるのですが、今回は 鋼鉄の声帯、黄金のヨンスクと呼ばれているシン・ヨンスクに決定しました。

と言うわけで、リュ・ジョンハンとシン・ヨンスクが出演している公演の中で、11/20 水曜日 20時開始の公演を選びました。そして、これに合わせて、日程、飛行機、ホテルを決めて行ったのです。(笑)

本日のチケット

今回のミュージカル"レベッカ"の公演会場は忠武アートホール・大劇場です。ここは1,2,3階席まであり、総客席数、1255席の大劇場です。実は、この日の席はほぼ満席でした。なんとか取れたのが2階席でした。ここからだと裸眼では役者さんの表情などを見ることは困難です。オペラグラスが必須です。しかし、ソウルに着いて気がついたのですが、肝心かなめのオペラグラスを忘れて来てしまったのです。悔やんだのですが、仕方ありません。歌声だけでも充分満足できるだろうと自分を慰めました。

オペラグラス
レンタルコーナー

レンタル料等の案内

しかし、会場に行ってみると、なんと、オペラグラスのレンタルをしているではありませんか⁉︎
レンタル料は3000ウォン(安い)公演開始の40分前から5分前の間に2階の売店横でレンタルしてくれます。この時、クレジットカードなどの身分を証明できるものを預けなければなりません。これはオペラグラスを返却した時に返してくれます。返却場所は、1階のクロークの横でオペラグラスのイラストと共に Opera-Glasses と書かれたコーナーがあります。

返却場所

このオペラグラスは忠武アートセンターの公共器物であると言うことで、もっと多くの人々に使用して頂くため、大切に取扱ってほしいとのことです。また、もしこのオペラグラスを紛失した時は同じものを買って返却しなければならず、また、破損した時は販売価格の半額を支払わなくてはならないとのことですのであらかじめ承知しておいてください。

オペラグラス
利用案内

他のミュージカル会場でもオペラグラスのレンタルをしているのかは、私にはわかりません。探そうとしなかったからかも知れませんが、今まで一度もオペラグラスをレンタルしているところを見たことはありませんでした。今回のように2階席や3階席だと役者さんは豆粒のようにしか見えません。オペラグラスのありがたみが身にしみます。と言うわけで、ご自分のオペラグラスを準備され、忘れずに持参されることをお勧めします。(笑)

忠武アートホール・大劇場は、地下鉄6号線の新堂(신당 シンダン)駅9番出口から、東大門歴史文化公園駅方面に約50m行ったところにあります。地下鉄2号線だと新堂駅1番出口から、東大門歴史文化公園駅方面へ向かい、150mのところにあります。途中で6号線からの9番出口の横を通り過ぎるので、後は同じ道になります。また、東大門歴史文化公園駅方面からも新堂駅よりか少し時間がかかるようですが行くことができるようです。

上映時間案内

劇場への出入口

第1幕85分 休憩20分 第2幕65分 上映時間 170分の大作です。しかし、その長さを感じることもなく、あっというまにグランドフィナーレになりました。千数百人の観客が総立ちになりスタンドオベーションです。特に、ダンバース夫人に対しての声援は主役のマキシムを上回るかと思われるぐらい熱狂的でした。アンコールに応えたダンバース夫人の歌声が今も頭の中をリフレインし、あのときの感動を新たにしてくれます。今回のソウル行は、”レベッカ”を観るためだったのですが、期待に違わない感動を味合わせてくれました。

ミュージカル“レベッカ”、もし機会がありましたら、ぜひ、鑑賞してください。感動をお約束します。

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