ソウルのミュージカル・演劇を楽しむ(7)ミュージカル"ジキルとハイド"

2019年4月2日(火)からのソウル訪問時のミュージカル鑑賞の紹介です。

今回は、ミュージカル”ジキルとハイド”です。2004年の初演以来、ほぼ毎年上演され、韓国ミュージカル史上最高の興行成績を残したといわれる名作です。
ミュージカル”ジキルとハイド”は1997年ニューヨークのブロードウェイで初演されて以来、日本を始め世界の約10カ国で上演され、特に韓国で大好評を博したミュージカルです。
初演では、日本からも熱烈なファンが訪韓すると言われる韓国ドラマ”馬医”の主人公を演じたチョ・スンウと韓国ミュージカル界の皇帝と言われたリュ・ジョンハンの二枚看板で主人公ジキルとハイド役が演じられ、公演期間中全席売切れとなったという伝説的なミュージカルです。
チョ・スンウはこの”ジキルとハイド”で韓国ミュージカル大賞 主演男優賞、ザ・ミュージカル・アワーズ 主演男優賞、Golden Ticket Awards ミュージカル部門 男子俳優賞 など様々な賞を受賞しており、”ジキルとハイド”は彼のミュージカルの代表作の一つと言っても過言ではないでしょう。

小説『ジーキル博士とハイド氏』、原題:『ジーキル博士とハイド氏の奇妙な事件』は、ロバート・ルイス・スティーブンソンの代表的な小説の1つ。1885年に執筆され、翌1986年1月出版。通称は「ジキルとハイド」。
二重人格を題材にした代表的な作品。そのため、解離性同一性障害の代名詞として「ジキルとハイド」が使われることも多い。
この作品は怪奇小説的で、裏の顔を持つジキルが薬を飲むことによって性格、および容貌までも変化していることが特徴である。なお、ハイド(hyde)という名前は、隠れる(hide)に掛けたものである。(ウィキペディアより)

小説や映画、日本でのミュージカルをご覧になってご存知の方もおられると思いますが、ストーリーを簡単に紹介します。
インターパークのあらすじ紹介から引用させていただきます。

[あらすじ]
1885年、ロンドン。有能な医者で科学者のヘンリー・ジキルは愛する恋人のエマとの結婚を控えている。何もかもを手にしているかのように見える彼にとって、たった一つの心配事は精神疾患を患う父のことだった。
ジキルは父をはじめ精神疾患で苦しむ患者を救うため、人間の精神から善と悪を分離する治療薬の研究を始める。薬は人を対象にした臨床実験の段階に入ったものの理事会の反対で実験はできず、ジキルの友人で弁護士のアターソンは落胆する彼を慰め、ウエストエンドのクラブに連れて行く。
ジキルはそこで酒に酔った人々からしいたげられているルーシーを見つけ、友人が必要なら訪ねておいでと自分の名刺を彼女に渡す。ルーシーはほかの人たちと違い、自分を人間的に扱ってくれるジキルに好感を抱く。
クラブから戻ったジキルは、この研究は自分にしか解決できないと気づき、自らの体で実験することに。彼は願いどおり善と悪を分離することに成功するが、次第に悪に満ちた第2の人物、エドワード・ハイドがジキルを掌握するようになり、やがてコントロール不可能な状態に至る。
実験が進むにつれジキルとエマの間は遠ざかり、そんなさなかに傷ついたルーシーが彼を訪ねてくる。ジキルは彼女を傷つけたのがハイドだと知り、不安にさいなまれる。
一方、ハイドはジキルの実験に反対した理事会の役員たちを一人ずつ殺害し始める。危険を察知したジキルは再び薬を使ってハイドを眠らせることに成功するものの、思いがけない瞬間にまたしてもハイドが登場し…。

ミュージカル”ジキルとハイド”では、この二重人格の主人公、善のジキルと悪のハイドの人格の落差を一人の役者がどう演じるのかで作品の評価が決まると言っても過言ではないと思います。役者の腕の見せどころといったところでしょう。そのため、主人公を演ずる各役者によってチョジキル(チョ・スンウ)、リュジキル(リュ・ジョンハン)、ウンジキル(パク・ウンテ)とわざわざ呼ばれるほど、ジキルとハイドの演技の印象が違うようで、また、そこに、それぞれ役者としての実力の見せどころがあるようです。
主役を誰が演ずるのかによって、全く別の"ジキルとハイド”が生まれ、観客はそれを楽しむ、そこにミュージカルの面白さが凝縮されているのでは無いでしょうか?
望むらくは、チョジキル、リュジキル、ウンジキルの公演をそれぞれ、すべて見たいものです。

今回のジキハイ(ジキルとハイドの略だそうです 笑)は、2018年12月から2019年5月まで上演されたようで、私が見に行った4月4日の舞台では、主役のジキルとハイド役は、チョ・スンウ、パク・ウンテ、ホン・グァンホの三人が演じていました。

留学時代も含めて、何度も見る機会があったのですが、タイミングが合わず、今回、初めての観劇です。
出来れば、チョ・スンウ主演のジキハイを見たかったのですが、3月の予約の時点では、チョ・スンウの出演する公演は5月の最終公演まで全て満席でした。さすがです!!
ホン・グァンホ主演の公演は、席にかなり余裕があったのですが、パク・ウンテ主演の公演もほとんど埋まっていました。
もちろんパク・ウンテ主演の公演を予約しました。舞台からかなり離れていますが、2階席の前から3列目に席が確保できました。ここからだと、役者の表情など、よく見えません。オペラグラスが必需品となります。舞台全般は肉眼で、気になる細部はオペラグラスの威力により大写しになり、場所のハンディは全く感じず観劇できました。オペラグラス、最高です!!!

パク・ウンテの声域の広さには定評があります。元々の彼の声域はバスだったようです。ミュージカルの舞台をこなすごとに、また、絶えまない訓練を積むことによって高音の美声までも獲得したようです。どれほどの努力が費やされたか想像に難くありません。
この伸びやかな美しい高音と太い迫力ある低音を使い分けたジキルとハイド、想像するだけで背すじがゾクゾクしてきます。
前回観た、"笑う男"の主人公を演じたパク・ヒョシンに勝るとも劣らない歌声をパク・ウンテは聞かせてくれました。むしろ、善のジキルと悪のハイドを一人で演じ分けるという設定の面白さに、"笑う男"以上の迫力を感じたのは私だけではないのではないかと思います。

髪の毛が逆立つというのか、鳥肌が立つというのか、背すじがゾクゾクするような感動に包まれて、グランドフィナーレを迎えた時、会場は感動の嵐で、総立ち状態に。私も思わずスタンディングオベーションをしてしまいました。スタンディングオベーションに対しては少し苛立つ思いもしたことがあるのですが(前の人が立ったため舞台が見えず、仕方なしに立ったことが少なからずありました)、今回は、本当の意味での喝采のスタンディングオベーションでした。

また、韓国のミュージカルではよくあることですが、カーテンコールの時に、観客を楽しませるちょっとした仕掛けというか、工夫をすることがあります。今回の公演でもパク・ウンテは、おおいに観客を沸かせてくれました。
ぜひ、お見逃しなく!!

今回の会場は、シャルロッテシアター。ロッテワールドホテルに隣接している劇場でした。1階、2階席を合わせ 1241 席という韓国でも最大級の大規模劇場です。

シャルロッテシアターは、地下鉄2号線の蚕室(チャムシル)駅3番出口を出てロッテワールドホテルを右手に見ながら道なりに進むと見えてきます。

すぐ近くに、高さ 555 m の 123 階建ての超高層ビル、ロッテワールドタワーがあります。タワーは下から見上げるだけでもめまいがしそうになるほどの圧倒的な存在感があります。一見の価値ありです。また、タワーの下層階にはロッテワールドモールや水族館、最上層階には展望台のソウルスカイなどが入っています。時間があれば、ぜひ、見に行ってください。楽しめること請け合いです。

上映時間は170分(中休みの20分を含む)です。今回、午後の8時開演でしたので、終了時間は11時前になりました。かなり遅くなってしまいますのでご注意を!

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