ソウルのミュージカル・演劇を楽しむ(3)ミュージカル”風と共に去りぬ”

2018年7月3日からのソウル訪問でのふたつめのミュージカル観賞の感想です。今回は、前回紹介した、"キム・ジョンウク探し〜あなたの初恋探します"とは違い、大会場に大舞台装置、大人数の大型ミュージカル、"風と共に去りぬ"です。

"風と共に去りぬ"は、1939年に映画化され"、日本では1952年に公開されたのですが、全世界で記録的な大ヒットを記録し、全世界での観客動員は、世界記録である20億人とも言われ、アカデミー賞の9部門を獲得した、伝説的な名作です。日本でも1970年にミュージカル・スカーレットの題名で上演され好評を博しています。
この、不朽の名作を韓国でミュージカルとしたのが、今回の"ミュージカル・風と共に去りぬ"です。
今作は、フランス版を基にした、ライセンスミュージカルとのことで、韓国語、韓国の役者での公演です。

実は、この小説を、約50年前の高校生時代に読んでいたのです。多感な高校生であった(笑)私は、この小説から大きな感動と強烈なショックを受けました。かなりの長編だったのですが、寝る間も惜しまず、一気読みしたのを覚えています。50年たった今でも、スカーレット・オハラとレット・バトラーの名前は瞬間的に脳裏に浮かんできます。よほど強烈な印象があったのでしょう。
この、”風と共に去りぬ”が、ミュージカルとなってソウルで鑑賞できるとあって、大きな期待を持って観てきました。もちろん、おおまかなストーリーは頭にあるので、韓国語オンリーでも楽しめるのではないかと思ってのことです。

チケットはインターパークで事前に購入、S席で140,000 ウォン、会場はチャムシル(蚕室)のロッテワールドホテルに隣接しているシャルロッテシアターでした。

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地下鉄2号線か8号線でチャムシル駅を下車、3番出口を出て、ロッテワールドを回り込むように進むとロッテホテルの横に会場はあります。

すぐ前に、2017年春にグランドオープンしたロッテワールドタワーがあります。このタワーは高さ555 m 、123 階建で、2017年時点で世界第5位、アジア第3位の高さを誇ります。下層階にはショッピングモールが、76階~101階には最高級6星ホテル、シグニエルソウルが、そして最上階にはソウルスカイという韓国で一番高い( 高さ 500 m )展望台もあります。なんとかと煙は高い所が好きだと言われるみたいですが、私もぜひ、行ってみたかった所です。しかし、時間の余裕がなく、泣く泣く次の機会に譲ることにしました。

少し話がそれてしまいましたが、ミュージカルへ戻します。

例によって、あらすじを紹介します。
インターパークの作品紹介から転記しました。インターパークでチケットを購入したので、ご容赦を・・・

(作品紹介)
今世紀最高のラブストーリーが、再び始まる!
韓国初演・再演の成功を追い風に、3年ぶりにカムバック!
ソウルの芸術の殿堂・オペラハウスで2015年1月、アジアで初めて韓国語バージョンで初演され、10カ月後に再演。華やかで雄大な舞台演出、芸術的な群舞で原作の感動を伝え、大絶賛された。
2018年の公演は一段と見ごたえのあるストーリー、感性豊かな演技で初演と再演に続くヒットを目指す。

<あらすじ>
南と北、恋人、そして奴隷たちの自由。
全ての運命をかけた巨大な戦争が始まる…!
アメリカ南部に大農場を所有しているオハラ家の長女、スカーレット・オハラは気位の高さと美貌で村の青年たちの心をつかむが、彼女が心を寄せるのは隣に住むアシュリー・ウィルクスだった。
だが、アシュリーがハミルトン家のメラニーと結婚すると聞き、スカーレットはアシュリーに恋心を打ち明けるが、受け入れてもらえない。貿易で大金を稼いだレットは、彼女のそんな姿を見守っていた。
そのころ南北戦争が始まり、スカーレットはメラニーを託して戦場に赴くアシュリーへの当てつけからメラニーの兄のチャールズと結婚するが、彼はほどなく戦死してしまう。若くして未亡人になったスカーレットはアトランタへ行き、メラニーの家族と暮らし始める。
やがて戦況は南軍に不利になり、アトランタも北軍に包囲される。だがメラニーは出産を控えており、アシュリーの頼み通り、スカーレットは彼女の出産を手伝う。
子どもは無事に生まれたものの、北軍の砲撃がアトランタを襲い、スカーレットはレントに助けを求め九死に一生を得てタラへと逃れる。だがタラは北軍に荒らされ変わり果てていて…。

映画は4時間近い大作です。これをミュージカルとして2時間10分にまとめ上げたのですが、かなり無理があったようです。映画の名場面を全て入れようとしたのか、ストーリー的に突っ込むべきところが突っ込みきれず、上っ面ばかりを追って、底の浅い展開となっていたように思われます。特に、スカーレットの奥に秘めた魅力を描ききれず、また、レットもただの傍観者のようにしか表現できなかったところは非常に残念でした。
調べていてわかったのですが、この小説には大きな問題点があると主張する意見もあるようです。
この小説は、当時の南部白人の目線から書かれたもので、黒人の目線からは、"奴隷制度を正当化し、白人農園主を美化している"という根強い批判もあるようです。
このミュージカルは、フランス版のライセンスミュージカルということで、黒人奴隷達の歌を中心に奴隷達を映画よりも大きく扱っていたようです。そこに、自由・平等・博愛というフランス文化のエスプリを感じたのは私だけでしょうか?

この公演は、2018年5月18日から同年7月29日までの上演です。今の時点でもう既に終了しています。期待が大きすぎたのか、私のこのミュージカルに対する評価が少し辛口に過ぎたきらいがあるようです。しかし、ミュージカルとしては十分楽しめる水準にはあると思います。再演される可能性が高いようなので、その時にはぜひ鑑賞されることをお勧めします。

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