ソウルのミュージカル・演劇を楽しむ(2)キム・ジョンウク探し〜あなたの初恋探します

 2018年7月3日からのソウル訪問でのミュージカル観賞の感想です。

 2006年に初演され、8年にもわたるロングランを記録し、観客動員数100万人を超えたと言われるミュージカル、”キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します”です。
 2010年12月に韓国で映画化もされ、2016年から、日本語、日本人の役者で日本公演も毎年行われており、今年も東京を皮切りに福岡、豊橋、大阪と各地で開催されています。一度、日本語の公演もぜひ、観たいものです。
 ソウルでは、やはり、演劇のメッカと言われているテハンノ(大学路)で上演されています。
 ミュージカルとは言っても、前回見た、”三銃士”とは違い、客席数も240~250席程度(テハンノでは規模が大きな方です)、出演者も総勢3名という少数で上演され、テハンノ特有の小規模ながらもアットホームな雰囲気を醸し出しています。

 テハンノの中心にあるマロニエ公園には”Daehangno Information Center”(テハンノ インフォメーションセンター)と看板の出ている”Ticket Box”があります。ここでは、テハンノで上演されている演劇、ミュージカルのパンフレットがいっぱい陳列されています。まだ、見たい演劇が決まっていないとき、ここで相談をすると、おすすめの演劇を推薦してくれます。コメディ、恋愛もの、ロングランしている演劇等、様々な情報やチケットを仕入れることが出来ます。残念ながら、日本語は理解できないようですが、英語で意思疎通が可能なので、一度チャレンジしてみてください。職員の方々は言葉が通じなくても非常にフレンドリーです。表の看板の一番上には韓国語で、”良い公演案内センター”と書いてあるくらいなので、安心して相談してください。また、当日割引など、格安なチケットを手に入れることもできます。

 今回、この公演のチケットは、Visit Soul と言う、韓国観光公社のホームページから手に入れました。いつもは、Inter Park と言う韓国のチケットサイトで購入しているのですが、今回は、Visit Soul を通して Inter Park から買いました。実は、インターパークのチケットは正規の料金で、割引がありません。他で買うと割引料金で手に入れられるのに、インターパークでは割引がないのです。今回のチケットも、インターパーク直接では、 正規料金の45,000 ウォン ですが、ビジットソウルを通すと、割引料金の13,000 ウォンで手に入れることが出来ました。また、コネストソウルナビでも、日本円払いですが、かなりお買い得なチケットが沢山あります。じっくりと比較しながら探してみてはいかがでしょう。
 テハンノで上演されている韓国の演劇の料金は、よほど売れ行きのよいものでない限り、かなりの割引をしているようです。先ほどのマロニエ公園のチケットボックスや、公園周辺で待ち構えてるチケット売りたち(皆さん若くてフレンドリーです)の当日券なんかはねらい目でしょう。

 2018年9月28日から10月31日までの約1ヶ月間、去年に続き、第2回テハンノ公演観光フェスティバル(ウェルカムテハンノ)が開催されます。大型ミュージカル、ノンバーバルパフォーマンス(非言語劇)、伝統芸能公演等、多様なジャンルの公演を楽しめるフェスティバルだと言うことです。目的は、韓国のミュージカル、演劇等のコンテンツを、言葉の障壁を乗り越え、広く海外にも広め、新しい観光資源として大きく育てることです。そのため、テハンノの代表的なミュージカルを何点か選抜し、字幕を準備させ、外国人にも理解でき、楽しめるミュージカルになるようにしたとのことです。
 今回の"キム・ジョンウク探し”は、この選抜されたミュージカルのひとつです。今回、ひょっとして、日本語の字幕がつくのではないかと、密かに期待していたのですが、残念ながら、字幕はついていませんでした。

 私は語学堂を卒業してはいるんですけど、韓国語を自由自在に聞き分けるまでにはまだまだ至っていません。特に、方言や早口で話されると、何を言ってるのかチンプンカンプンです。字幕なしのミュージカルや演劇を韓国語で楽しむのは私にとってもなかなか難しい事です。ミュージカルは歌を楽しめばいいのだとは言うものの、やはり進行状況が分からなければ辛いものがあります。
 韓国語での公演を楽しむためには、あらかじめシノプシスというかあらすじを理解することをお勧めします。事前にあらすじを理解できていれば、言葉が分からなくても、雰囲気で何をしているのか何となく想像できます。そして役者さんの演技、歌声、舞台と客席の雰囲気等、全てを感じ取って、楽しむことができるのではないかと思います。

 では、あらすじを簡単に紹介いたします。
 生真面目で融通が利かない性格のため、会社をクビになった男主人公は、ひょんなことから新しい会社をオープンする。それは、初恋の人を忘れられない人のために、その初恋の人を探す会社であった。
 娘の結婚を望んでいる軍人出身の父からの圧力にも関わらず、結婚に踏み切れない女主人公。彼女の心の中には"キム・ジョンウク"という初恋の人が住みついていたのである。
 父から背中を押され、彼女はしぶしぶその会社を訪ね、初恋の人を探すことを決める。しかし、初恋の人に関して、彼女が知っていることは、"キム・ジョンウク"と言う名前だけであった。
 初めての顧客からの依頼をなんとか成功させたい彼は、持ち前の生真面目さと熱心さで必死に頑張る。正直、彼女がうんざりするほどであった。
 彼は全国の"キム・ジョンウク"の所在を探し出し、彼らに会いに行くことを彼女に提案する。
 最初はお互いウマが合わない二人であったが、旅を進めるにつれ、徐々に惹かれあって行く。
 そしてついに初恋の人が見つかり・・・

 ロマンチックコメディ、デートNo1.ミュージカルとキャッチフレーズがつくミュージカルです。初めのころは少しダラダラ感(?)がありましたが、進行するにつれ、客席と舞台が溶け合って、一体感のあるいい舞台を作っていました。
 また、韓国ではよくあるそうですが、一人で何役もこなすマルチマンが印象的でした。21(22かも?)役を一人でこなし、会場を笑いの渦に巻き込んでいた役者さんの演技力は素晴らしかったです。ぜひ、注目して観てください。

 このミュージカルは、どうも2か所で上演されているみたいです。今回の劇場は席も指定されており、テハンノの劇場の中でも大きい方です。もう一つの劇場は今回の劇場のすぐ近くにあり、100席前後で、座席指定もありません。料金設定も少し安いようです。ひょっとして、ミュージカル、”キム・ジョンウク探し”はここで産声を上げたのかなと勝手に想像しているところです。私は、テハンノの演劇、ミュージカルを観る場合、劇場は小さければ小さいほど楽しいと感じているので、もう一度観る機会があるのならば、ここで観てみたいものです。

 ミュージカル、”キム・ジョンウク探し”は、2019年1月25日まで上演される予定です。もし、このミュージカルを観に行かれるのであれば、今年の9月28日から10月31日まで、第2回テハンノ公演観光フェスティバル(ウェルカムテハンノ)が開催されますので、この期間に行くことをお勧めします。おそらくですが、日本語字幕が付くのではないかと思われます。

今回のソウル訪問からのアップ記事
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2 ソウルのミュージカル・演劇を楽しむ(2)キム・ジョンウク探し
3 ソウルのミュージカル・演劇を楽しむ(3)風と共に去りぬ
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