秋田・青森の旅(2)乳頭温泉 鶴の湯

秋田・青森の旅(1)角館・田沢湖 の続きです。

2019年7月15日(土曜日、海の日)より5泊6日での秋田・青森の旅、初日です。
秋田空港から角館、田沢湖と回って乳頭温泉の鶴の湯に到着しました。

乳頭温泉郷は、十和田・八幡平国立公園の乳頭山麓にあり、鶴の湯、妙の湯、黒湯温泉、蟹場温泉、大釜温泉、孫六温泉、休暇村の7湯を総称したものです。7湯はそれぞれ独自の泉質の源泉を持ち、各温泉にはそれぞれ湯治客が訪れる宿泊施設があります。
最近では世界的にもその名を知られており、外国人観光客もよく訪れています。
乳頭温泉は、田沢湖から車で40分前後、山奥にわけ入ったところにあり、温泉好きからは、一度は訪れてみたいと言われている、秘湯の代名詞と呼ばれる温泉郷です。
その中で、鶴の湯は、乳頭温泉郷で最も古くからある温泉宿と言われており、記録によると350年以上前から営業しているそうです。現在も、茅葺きの本陣などが当時そのままの様子で保存されており、江戸時代の温泉宿の鄙びた情緒を感じる事ができます。

乳頭温泉への交通手段を調べてみました。
まず、JR 秋田新幹線 田沢湖駅からです。
駅前からバスが出ています。羽後交通 乳頭温泉行きです。194号線に沿って、アルパこまくさを経由して、休暇村、妙の湯、大釜温泉、蟹場温泉と順次停留所があります。
終点の蟹場温泉まで、約50分かかります。料金はJR田沢湖駅前から乳頭温泉まで大人1人、820円で、バスは約1時間に1本あります。
孫六温泉、黒湯には定期バスのバス停はありません。バス道の194号線から枝道に入らなければならず、大釜温泉からですと孫六温泉まで、徒歩で20分前後かかるそうです。黒湯はその先にあります。休暇村からも行けるようです。後で、ふれますが、乳頭温泉を巡回している湯めぐり号というバスがあります。これに乗ると7湯全てバスに乗って訪れることができます。これを利用するのが一番いいのではないかと思います。
鶴の湯にはバス道の194号線から途中枝道にそれて行かなければなりません。鶴の湯温泉入口のバス停があるのですが、そこから歩いて鶴の湯まではかなりあります。アルパこまくさバス停から鶴の湯の送迎バスが出ているようなので、ここで乗り換えるのがいいようです。田沢湖駅前から何時の乳頭温泉行きのバスに乗るのか鶴の湯に電話したら、アルパこまくさバス停まで迎えに来てくれるそうです。

次に、秋田空港からです。
予約制のエアポートライナーが角館、田沢湖を経由して乳頭温泉まで運行しているようです。
距離は約90km、約2時間かかるそうです。
どうもタクシーを利用しているようですが、料金は1人6000円、1日4本、時間も決まっています。
予約及び詳細は、キングタクシー 018-867-7444まで。

また、車で行かれる方は、ナビにセットしてください。(笑)

先程、少し触れましたが、乳頭温泉温泉郷を循環している湯めぐり号と言うバスがあります。このバスに乗り放題で、乳頭温泉の7湯全てに入れる湯めぐり帖と言うのがあります。乳頭温泉宿泊者でなければ購入出来ませんが、料金は1500円で、有効期間は1年間です。
乳頭温泉7湯はそれぞれ泉質の違う源泉を持っています。乳頭温泉郷という狭いエリアにこれだけ個性の強い温泉が集まっているのも珍しいのではないかと思います。
この湯めぐり帖を利用して、それぞれ特徴のある温泉を全て楽しむというのも乳頭温泉でこそ出来る、楽しみ方のひとつではないでしょうか。

しかし、私たちは、今回、湯めぐり帳による他の温泉への日帰り入浴をしませんでした。このブログで乳頭温泉のすべての温泉を紹介したかったのですが・・・
ご存知のように、江戸時代には銭湯があり、すべて混浴でした。一時期、混浴禁止令が出たりしましたが、なかなか無くならず、完全に無くなったのは明治末期だったと言われています。しかし、現在でも、東北地方や北海道の一部で混浴が残っています。
20数年前、カナダのCMHというヘリスキー会社のロッジに泊まったときのことです。そのロッジにはジャグジーと本格的なサウナが備付けられていました。CMHには世界中からお客様がパウダースノーを楽しむために集まっていました。スキーから戻ってきて、サウナに入ろうとした時、たまたまサウナにはヨーロッパ系の男女のお客様ばかりが入っていました。彼らは身に何もつけていませんでした。私は、水着を着て入ったのですが、目のやり場に困ると同時に、自分だけが水着を着て入っていることにかえって恥ずかしい思いを感じてしまいました。別の日には、北米系のお客様ばかりが入っていました。今度は、全員、水着着用でした。
混浴が良い悪いというよりも、その土地それぞれの風習に従うしかないのではないかと思います。しかし、その風習に慣れない人もいるはずで、地元以外の観光客を受け入れる以上、その人たちに対する配慮はあっても良いのではないかと思う次第です。
ここ乳頭温泉は古い歴史を持った温泉宿です。混浴は当然のこととして受け止められています。規模の小さな温泉宿は、建物も古く、混浴を嫌がる女性への対応は必ずしも万全ではありません。
今回は妻と娘を同道しています。彼女たちは混浴に対して肯定的ではありません。
混浴には賛否両論、いろんな意見があるようです。目くじらを立てず、あるがままに楽しんだら良いのでしょうが、彼女たちの意思は無視できません。
せめて、酸ヶ湯温泉や不老不死温泉のように、温泉に着て入っても良い、湯浴み着を用意するなどの、女性に対する最低限の気遣いは必要ではないでしょうか?
混浴露天風呂を抜きにしても楽しめる温泉宿はここ乳頭温泉では限られているようです。
幸いにして、鶴の湯は、男女別の内風呂が充実しており、さらに、女性専用露天風呂が2つもあります。ここでは、混浴露天風呂に入らなくても鶴の湯を充分楽しむ事ができます。
ということで、今回、乳頭温泉の湯めぐりは次回の楽しみにして、鶴の湯の風呂をとことん楽しむことにしました。(笑)

今回、全国の温泉宿の中でも、最も予約の取りにくいと言われている、鶴の湯に幸いにも宿泊できました。予約が取れたのは、六畳一間の湯治客用の部屋でした。泊まれるのであればどこでも良かったのですが、グレードアップ出来るものならと、キャンセル待ちをリクエストしました。後日、連絡があり、見事、東本陣にグレードアップできました。この部屋は囲炉裏付きで部屋食でした。窓からは渓流のせせらぎが聞こえてきます。鶴の湯でも最も新しい棟だそうで、テレビこそ付いてませんでしたが、何不自由無く過ごせました。

駐車場は、鶴の湯の入り口の鳥居のような門(?)の前にありました。ここから自分で荷物を持って受付(事務所?)まで行かなければなりません。100mぐらいはあったでしょうか?砂利道です。スーツケースだったのですが、引っ張るわけにも行かず、かなり重たい思いをしました。荷物を運べとまでは言いませんが、この辺、少し考えていただければと思うところです。

鶴の湯は、白湯、黒湯、中の湯、滝の湯という4つの源泉を持っています。

白湯は、美人の湯、別名、冷えの湯。酸性泉で湯の色が白く、高血圧症、皮膚病、リュウマチ、糖尿病、凍瘡傷、などによく効きます。泉質は、含硫黄ナトリウム・カルシウム塩化物・炭酸水素泉(硫化水素型)

黒湯は、ぬぐだまりの湯・子宝の湯と呼ばれ、湯冷めのこないことから、不妊症、神経痛などによく効きます。この湯は、普段青みがかかっていますが、天気が悪いと黒く、晴れると白くなり、湯の温度でほぼ天気を占えます。泉質は、ナトリウム塩化物・炭酸水素泉

中の湯は、眼っこの湯と呼ばれ、神経系統の病気、眼病に効き目があります。泉質は、含重曹・食塩硫化水素泉

滝の湯は、打たせ湯で、お湯に打たれると、運動障害、動脈硬化症などによく効きます。泉質は、含硫黄ナトリウム塩化物・炭酸水素泉
(以上、鶴の湯の部屋備付けのパンフレットより引用)

事務所前の小さな木の橋を渡ると温泉棟があります。
橋を渡って左手に、男女別の白湯と黒湯の内風呂があり、女性用の黒湯の奥には女性専用の露天風呂があります。この露天風呂はかなり大きいらしく、妻と娘が言うには、混浴露天風呂に入らなくても十分露天を楽しめるとのことです。ただ、女性が白湯と黒湯の両方を楽しもうとすると一度服を着て移動しなければなりません。
男性の内風呂には脱衣所を挟んで白湯と黒湯があります。裸のままで両方の湯を行ったり来たりできます。
有名な、混浴露天風呂は橋の右手にあります。

この混浴露天風呂が、乳頭温泉を紹介する写真で一番使われています。乳頭温泉を代表する露天風呂と言っても過言ではないでしょう。ここを目当てに日帰り入湯客が押し寄せているようです。
泉質は先ほど紹介した、白湯です。乳白色の濁り湯です。首まで浸かると、ほぼ身体は見えません。奥の方に行くと足元からプクプクと源泉が湧き出てくると言われていますが、実際のところ、ほとんど感じられませんでした。時期、時間帯によって違うのかもしれません。ご自身でお確かめください。
混浴露天風呂を左手に見ながら、奥の男性用脱衣所で服を脱ぎます。女性用脱衣所はその奥にあるため、脱衣所に行くまでに混浴露天風呂や男性用脱衣所がちらちらと見えてしまいます。(笑)
男性、女性、どちらも脱衣所の奥に小さな内風呂があります。
この女性用脱衣所の奥に、中の湯があり、ここも女性専用の露天風呂です。すこし小さいですが、奥まったところにあるため、ギャラリーに見られることもなくゆっくりと露天を楽しめます。
あと、一号館と新本陣に小さいですが男女別の内風呂があります。露天風呂には身体を洗う設備が無いため、身体を洗うのはここで行なってくださいとの事でした。

また、東本陣へ行く手前には無料の家族風呂というのですか、誰か入ってたら入らないでくださいと言われた、小ちゃな露天風呂があります。すぐそばに渓流が流れており、とても風情を感じられます。冷たい川の水を汲んでかぶったのですが、とても気持ちよく、私にとって鶴の湯の中で、この露天風呂が一番好きかなと思った次第です。

月曜日は清掃日で、日帰り入浴は混浴露天風呂には入れず、内湯のみになるそうです。我々が泊まった日は月曜日でしたが、祝日のため、清掃は翌日の火曜日になっていました。
そのため、混浴露天風呂は、翌日の朝、8時からは清掃のため入浴できませんでした。

夕食は、囲炉裏を囲んだ部屋食でした。食事の1時間ぐらい前に、炭を入れ囲炉裏をセットします。
串に刺した岩魚を囲炉裏で炙りながら、鶴の湯名物の山の芋鍋を煮込みます。あとは地元で取れた山菜などを中心にした料理です。
私は久しぶりに、岩魚の骨酒を注文し、気持ちよく酔わせていただきました。(笑笑笑)

江戸時代を思わせるような情緒のある、鄙びた温泉宿。しかし、宿泊に関してはしっかりと近代化されており、充分満足できる水準にあります。
食事も過不足なく、その上、天下の名湯をこれでもかと言うぐらい堪能できる。
乳頭温泉 鶴の湯、想像以上に素晴らしい温泉宿でした。

秋田・青森の旅(3)酸ヶ湯温泉 に続く

今回の、秋田・青森の旅のアップ記事
(1)秋田・青森の旅(1)角館・田沢湖
(2)秋田・青森の旅(2)乳頭温泉 鶴の湯
(3)秋田・青森の旅(3)酸ヶ湯温泉
(4)秋田・青森の旅(4)十和田湖・奥入瀬渓谷

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